これまでは配偶子キラー因子を見てきたが,次に母性効果キラー因子を見ていく.これは,ヘテロ接合体メスに作用するキラー因子である.また,植物の花粉に作用する配偶体因子についても少し触れる.

2.3

  • 配偶子キラー因子
    • ヘテロ接合体オスに作用して,因子を受け継いでいない精子を殺す (e.g. tやSD)
    • 対象となるのは1倍体の配偶子
  • 母性効果キラー因子
    • ヘテロ接合体メスに作用して,因子を受け継いでいない子供を殺す
    • 対象となるのは2倍体の個体
    • このキラー因子は父親由来でも母親由来でも働く場合がある
  • コクヌストモドキ
    • M, Medae, 母性効果優勢胚発育停止因子
    • ヘテロ接合メスM/+において,+/+の野生型を殺す
    • 野生型ホモ接合メス+/+から生まれる+/+は生存可能
    • Mは父親由来でも母親由来でも働く
    • 4つのMedea因子が関与,地理的に広範囲にパッチ状に分布

  • ハツカネズミ
    • HSR領域(第1染色体上の細胞学的手法で検出可能な均一に染色される部分)
      • オスに由来するHSRも同様の効果を示すため,HSR/+ヘテロ接合メスと+/+野生型オスにおいてのみドライヴ性を示す(70%)
      • Sp100-rsCsprsが融合した100kbの反復配列の900~2000コピーからなる(野生型は60コピー程度)
    • scat+
    • OmDDK

  • 子供に投資をすることによってドライヴ性を示す遺伝子
    • これまでのケースは因子を持たない子孫を殺す遺伝子だったが,因子を持つ子孫に投資をしてドライヴ性を示す場合もある(妊娠ドライヴ)
    • 青髭効果(または緑髭効果 green beard effect)
    • 細胞接着分子
    • シグナル検知(リガンドと受容体,酵素と基質のような関係)

2.4

  • 植物の配偶体因子 gametophyte factor
    • トウモロコシの第4染色体上のga1遺伝子