うーん,やっぱり経済学は難しい.僕の知識はスティグリッツの入門経済学くらいで止まってて,大学での興味は経済学よりマーケティングの方に傾いちゃったから,そもそも基礎の辺りで分かってないんだろうなと思うことが多い.本書なんかはその点かなり分かりやすく書かれているんだろうとは思うんだけど,ベビーシッター協同組合の上手い喩えから抜けだしたあたりの,じゃあFRBや政府や投資銀行やらの具体的な政策の話に入ると,どうしても要点がつかみにくくて難しいと感じてしまう.やっぱり経済学という枠の中での定番の話について知っておかないと,クルーグマンが如何に大胆な提言をしているのかといった部分についても見えてこないんじゃないかという心配もある.

まあそれでも経済学は面白い.ヒトの物々交換が何でこんな複雑怪奇で実感とかけ離れたところまで来てしまったんだという歴史的なところから,その裏に隠れた経済活動を加速するための巧妙な仕組み,そして現実世界で今起こっている現象に対して頭のいい人たちがよってたかって集まって殴り合っている様はどれも非常に面白い.あとは「ヤバい経済学」のような日常に落とし込んだ経済学も,それはそれで実感レベルでの驚きがあって良い.経済学という人間の経済活動を研究すること自体,ドライバーが自分のポンコツ車を高速で走らせたまま修理するようなもので(これ何の喩えだっけ),それにしても本当に難しい学問だとも感じる.

本書は,リーマン・ショック以降の現在のアメリカおよびユーロ圏の経済停滞において「これからどうするのか?」という問題を,過去の大恐慌やその時代のジョン・メイナード・ケインズの研究を軸に考えていこうという内容となっている.もちろん政府やFRBのバーナンキなどはどうにかして停滞を脱しようとしているわけだが,その政策はまだまだ甘い,効果が稀薄だとクルーグマンは主張する.

さて,本書に関してはまあざっと読んで付箋をペタペタ貼りまくって一応は通読したわけだけど,取り敢えず外堀を埋めるという意味でも,もうちょっと経済学の基礎の部分を勉強していきたいところ.いくつか既に本は買ってあるし,スティグリッツの教科書もまだ残っているので,どういう感じで攻めていこうか考え中.

あと,先日のニコニコ生放送の宮崎哲弥x山形浩生x田中秀臣は本書を読む上でとても参考になった.