基本的な使い方からTerminalを駆使した設定変更まで,MacのGUIにおけるテクニックを網羅した手引書

本書はいわゆる「入門書」と呼ばれるOSの使い方や各種ツールの便利な機能を紹介した本なのだが,その中でも特にショートカットや隠れた機能に絞ってマニアックな使い方を紹介するという,いかにもO’Reillyが好きそうな内容となっている.この本に登場するTipsの数は300を超え,スクリーンショットはほどほどに,紙面にはびっちりと文字が並ぶ.Tipsの対象はプレビューからSafari,Mail,Spotlight,Mission Controlなどの基本的なアプリケーションや機能に加えて,メモリの増設方法であったりOSやHDDが不調の時の対処法まで,あらゆる使い方に幅広く対応できるようなラインナップになっている.そのため,頭からざっと読んで新しいショートカットを覚えるもよし,何かしたいと思った時に逆引き辞典として使っても良しと,多彩な使い方ができる1冊だ.

取り敢えず私もひと通り眺めようと思ってポストイットを持って最初から最後までひと通り流し読みしたのだが,気付けばポストイットが本の上部にびっしり貼り付けられるという感じで,今まで知らなかったテクニックが非常に多かった.特に,Optionキーを組み合わさせたショートカットはかなりマニアックなものが揃っており,テキストの矩形選択やFinderの新規フォルダ作成など,この本を読まなければずっと知らなかったであろうテクニックばかりだった.また,Terminalを使って1行で設定変更が出来るTipsもかなり掲載されており,普段はインターネットで時々目にするようなHackが纏まっているのも有用だった.

ちなみに,O’Reillyで出版されているMacに関連した本では「入門 Unix for Mac OS X 第4版」というこれまたマニアックな本があるのだが,こちらはタイトルにもあるようにMacのUNIX的な使い方を紹介する本だ.こちらはこちらでUNIXコマンドの基本的な使い方に始まり,Mac OS X特有のコマンドが紹介されていたりと,なかなかユニークで面白い本になっている.本書とは方向性が全然違う本だが,Macをより一層便利に使いたいという点では共通しているだろう.内容が少し古くなっているのが難点だけれども,基本的なところは変わっていないので,特に問題ないと思われる.