浅草キッドの水道橋博士による,芸能界で活躍している人々の伝説を自身の体験とともに纏めた本.ターゲットとなる人物は,芸人からTVプロデューサー,アナウンサー,歌手からホリエモンに至るまで多種多様なラインナップとなっている.芸能界というくくりであるからには,何かしら自分の話術なり知識なり人間性なりを切り売りする仕事であることには間違いないのだが,それでも常識を大きく飛び越えるレベルの人間模様を捉えたり,表には出てこない隠れた才能を引き出すという意味で,本書はTVなどメディアで見ることのできない一面を見せてくれる.

一方で,芸能界に生きる多様な人物を描くといっても,やはり元となる人物を知らなければそもそも楽しめないということがある.また,2000年代前半の記事が多く時事ネタが結構盛り込まれているということで,記事の古さを感じさせる部分もある.ただ,それでも今改めて読んで面白く,それぞれの人物を再認識せざるを得ないような内容であることには間違いない.

水道橋博士といえば「博士の異常な鼎談」や「博士も知らないニッポンのウラ」などの対談番組には馴染みがあったものの著作を読むのは今回が初めてということだったのだが,なかなかに面白かった.