英語の勉強法に王道なんてものは無くて,みんながみんな自分の方法を一般論のように語ったり,適当なことを言いふらしてはお金にしようと画策していたり,かく言う僕自身もあまり英語が得意ではない方で勉強法についてもよく分かっていない.だから,勉強しようとすると誰かの意見を盲信するか,自分の流儀を貫き通すしかない.本書も結局は巷にあふれる英語勉強本の中の一つにすぎず,Googleだとか外資社長だとかいった箔が付いている程度のものだ.

本書の主張は非常にシンプルで,英語のスキルを上達させたいなら

  • 300万語読む
  • 1万語眺める(覚える)
  • 1000時間聞く
  • 文章を書くときは人の英文を借りてくる
  • パターンを暗記する

をクリアすればいいというもの.あとは,これを実現するために具体的にどうやれば効率が良いかといった方法が,著者自身の経験とともに語られる.例えば,英文を読むときは後戻りをせずに一気に読みきるとか,リスニングは筋トレと同じだから聞き取れないくらいのレベルを聴き続けるとか,英語のメールを書くときは人の文章から借りてくるとか,ちょっとしたコツが幾つも載っている.分量としても,1時間あれば読みきれるくらいなので,軽い気持ちで読み通せる.本書の中では,英語を学習する上で難しいことなんて何も要求されない.

さて,ここまで本書をひと通り読み進めて,あとは内容を信じるか信じないかだ.納得できたかかどうか,信憑性があるかないか,試してみてリスクが大きそうか小さそうか,その辺りが頭のなかを駆け巡ることだろう.僕の場合は,本書の進言をちょっと真面目に聞いてみようかなという気になった.理由なんてものはあってないようなものなのだけれども,著者の英語に対する割り切りの良さが少し気に入ったからかもしれない.

ということで,サクッと読めてアドバイスもそこそこな本書は,意見が合う部分が多く個人的にはオススメできる.まあ,英語上達の保証はできないけれども….