今回初めてポスターを作るにあたって知ったこと・気付いたこと・考えたことなどをまとめておく.次にポスターを作る時の自分,これを見て前回のことを思い出して頑張ってくれ.

心得その1:ポスターにフォーマットは無い

ポスターは与えられた制約のもとで自由に作ってよい.どのようにレイアウトをしようが,どんな内容を書こうが,ポスターを貼れるボードの大きさの範囲内で好き勝手に作ることができる.掲載する研究内容だって自由.テキストのフォントや大きさだって自由.PowerPointで作ったってKeynoteで作ったって手書きで作ったって自由.すべて好きなように作れる.ポスターという形でなくても,プレゼンテーションのスライドをA4に印刷して並べて掲示することもできるし,何ならiPadを飾ったって良い.コンビニによくある商品のポップをポスターに貼ることで内容を強調することもできるし,ポストイットに意見を書き込んで貼っていけばポスターはブレインストーミングの場にもなる.先輩の使いふるしのテンプレートを貰ってただ埋めていくのではなく,まず自分の研究のことを深く理解して,その成果や魅力を人に伝えるのに最も適した方法を考える.

心得その2:作っては壊しを繰り返す

画面に映し出される白紙のポスター原稿を前に呆然としてあれこれ思い悩む前に,とにかく何でもいいから書き込む.ポスターはどうしても1枚絵だから全体の構成や要素間の兼ね合いに注意が向かいやすいが,どうせ後々綺麗に整えるのだから気にしない.画面全体が埋まるまでは,適当に必要そうなことをひたすら詰め込む.研究内容に関して要旨などの文章が既にあるなら全部貼り付けておく.図ができていれば全部コピーして画面端にでも表示させておく.外見だけでも文字と図の詰まった状態にしておけば,取り敢えずは何とかなるんじゃないかと少し自信と余裕が出てくる.ただし,ここまではまだポスター作成の準備段階.

次に,ポスターのクオリティを上げる行程に入る.ここから如何に内容をブラッシュアップしていくかが大変で,修正しては全体を見直すということをひたすら繰り返す必要がある.要らない部分を削りまくり,足りないものを付け足しまくる.ある程度できたと思ったらA4に印刷し,PCと画面から離れて紙と赤ペンに持ち替える.直すべきトコロを一通り列挙したら修正を加える作業に戻る.全体のレイアウトを見たければ,ポスターサイズの原稿をA4サイズに分割して印刷し,セロテープで貼りあわせて原寸大のサイズで確認する.これらの行程を繰り返せば繰り返すほどクオリティが高くなると思ったほうが良い.また,ある程度の段階で先生や先輩・後輩に意見を聞くのも大切で,パッと見たときの印象や論理構成,誤字脱字をチェックしてもらえると格段にクオリティが上がる.

心得その3:ポスターにすべて詰め込まなくても口頭説明で何とかなる

簡単に言えば,ポスターに不備があっても実際は何とかなる.一方的に説明をするプレゼンテーションとは違い,ポスターは相手とやり取りしながら内容を伝えることができる.ポスターに書いてないことは,覚えている範囲内で自分の口から説明すればよい.決められた発表時間も存在しないから,状況に合わせて説明の細かさや配分を変えることも可能になる.ポスターは往々にして端から端までじっくり見てもらうことが難しいものだから,ポスターの出来栄えや内容の充実度合いにこだわるのではなく,ある程度割り切った上で議論の叩き台として役に立てることを重要視する.そういった意味で,研究概要を漠然と書くのではなく,具体的な方法や数字を織り込んで作っておいた方が実際に役に立つ.


具体的なポスターの作り方 (リンク)

ポスターの基本的な考え方やレイアウト

MacでA4分割したポスターを印刷するとき

豊富な具体例

こんなポスターだってアリ

良いデザインの背後にある理論を解説した良書