タイトルそのままに,アメリカ合衆国で活躍する女性を紹介した本書.自伝のあらすじを並べたような短さと簡潔さで,ざっと読んでもそれぞれの登場人物の生き様を感じることができる.その中でも女性の力強さには毎度,いや1ページごとに驚かされる.男性社会におけるガラスの天井,人種差別,両親の離婚や貧困に起因する複雑な少女時代,そのどれもが逆境として描かれる.それをすべて現在の活躍の糧だと考えるのは行き過ぎかもしれないし,そういう環境で育った人間はすべからく偉大な一人になれるかといえば必ずしもそうではない.彼女らは一握りのイレギュラーであることに間違いない.そして一人の象徴される人間の裏には大多数のサイレント・マジョリティ,もしくは芽の出ない才能を持った女性が多数いたことだろう.その中で出る杭となって出てきた彼女らの功績は賞賛されるべきものであり,まさに「めっちゃスゴい」人生だ.

雑誌に連載されていたコラムのためか,それぞれの記事の情報量には物足りなさを感じる部分もある.しかしながら,本書は次へ進むきっかけと捉えて,より深く知りたいと考えるには充分だと思う.少なくとも私は,紹介されているコメディアンの出演するドラマを見たくなったし,現役で活躍するCEOの会社の今後が楽しみになったし,そういった女性が活躍する土壌を持つアメリカの文化をより知りたくなった.それにしても55人(実際には+2人)の人生を一度に眺めるのはなかなか大変だ.まずは興味を持ったところから調べ始めよう…….