「ググる」に代表される検索システムがが電子葉という脳機能の一部として実用化され,知ること自体がネットワーク上の情報にアクセスすることと同義となった世界の物語.身の回りでは情報材とよばれる素子によって通信が媒介され情報が発信し続けられ,人間はそれに自由にアクセスできる.そんな情報に溢れた未来で,知りたいと欲する知識欲の根源とはなにか,予測できるものとできないもの,そして全能性について,本書「Know」はそういった問題に焦点を当てた小説だ.

扱われるトピック的には現在の科学技術の延長線上に収まっていて,突拍子もないアイデアが出てきたり宇宙人がみたいな話も無い.その分ある程度予期できるというか,出来なくはないだろうという感じで未だ実現しない技術が常識的に使われる未来を脳内に描きやすい.というより読んでいてあれこれ考えを巡らすのが楽しい.

一方で,本書は京都が舞台になっており,表紙絵からも分かる通りかなり宗教色や日本の歴史観を入れ込んだ作品になっている.そういうあたりは手塚治虫の火の鳥を想起させるけれども,本書が向き合う宗教や歴史観はそれとは少し違う気がする.あたかも宗教画や教義の中には真実が隠されていて,現代人はそれに気付いてないんだ的な扱いをしていて,僕はあまり好きじゃない.ある意味西洋的であるというか,宗教や歴史的な古文書ってそんなに始まりをつかさどるようなものだったっけ?と疑問が湧いてしまって,その点は馴染めなかった.

あと最後に蛇足で内容とは全く関係無いが,計算機科学的にはCould not getではなくてPermission Deniedなのでは…と思った.