何というか…
これはひどい(褒め言葉)
という感じで,楽しく読ませていただいた.
内容的にはPRMLというよりかはエントロピーなどの情報理論なのだが,そのあたりに突っ込むのは無粋というもの.文芸部のツインテール女子高生が黄色い表紙を持っているだけで100点満点,むしろ点数はカンストですよ.「もしドラ」と「数学ガール」という2つの共通認識があってこそ成立するこの異次元な設定,そして機械学習ブームに後押しされてバイブルと化したPRMLの持て囃されっぷり.まさに現在の潮流を象徴する1冊といえるだろう.最近ではビジネスやマーケティングと組み合わさって何やら胡散臭い感じが出てきた機械学習界隈だけれども,アカデミアやエンジニア側としては上手く折り合いを付けて堅実に発展していって欲しいトコロ.まあそのあたり,変に商業主義を敵視したりExcelに突っかかっていったりせず,本書のように何でもアリで楽しめたらなぁと思う今日この頃.
ただ本書でひとつ惜しむらくは,分量が少ないこと.薄い本といえどあれこれ設定やら背景を入れて,PRMLのごとく色んな話題を詰め込んで欲しかった.まあ本業のある中での執筆活動ということで大変だとは思うが,またストックの溜まった頃にまとめて放出してもらいたい.こういう小説系で書かれた数学分野の啓蒙書では,例えば野矢茂樹氏の無限論の教室 (講談社現代新書)が個人で書きためていた原稿の新書化だった気がするので,結城浩氏の数学ガールくらいの大作とまではいかなくても,新書くらいの分量なら書籍としての出版は期待できるかも….
という感じで,機械学習系の勉強会での活動やgihyo.comで連載中の「機械学習 はじめよう」など,これからも多方面で活躍されることを楽しみにしております.