アカデミー賞2冠の「アナと雪の女王」(原題”Frozen”)の公開が今週に控えて非常に楽しみなのだけれども,それに先駆けて主題歌”Let It Go”のシーンの抜粋がディズニー公式で上がっていたので,その感想を少し書き出そうと思う.ちなみに動画内で歌っているのは題名にあるアナではなく,その姉のエルサらしい.
当然映画本編は見てないし予告編をチラッと見たくらいでストーリーも大雑把にしかわからないのだが,この動画が伝える情報量ははるかに多く,歌詞も相まって彼女の置かれている境遇や心境が手に取るようにわかる.テーマ的には身分や責務という束縛からの解放,典型的な通過儀礼の初っ端というところだろうか.
さて,歌いながら彼女が何をしているかといえば,単に着替えているだけなのだけれども,その意図が非常にわかりやすい.それまで着ていた伝統的かつ高貴なドレスから,グローブを取り,マントを脱ぎ捨て,髪留めを放り投げ編んでいた髪を解き,最後には自分で作り上げた自由なドレスへと変身してしまう.つまりは他人に押し付けられた衣装を脱ぎ捨てていくという行為が,自分らしさを取り戻していくという過程につながっている.歌う時のジェスチャーもまさに心境を反映したものであり,最初は両手を握り胸の当たりに当てて戸惑う雰囲気をだしつつ,ドレスを着替えた後半からは両腕をめいっぱい広げ堂々とした姿で力強く歌い上げる.曲の盛り上がりも相まって,まさに解放,まさに自由といったパワーを感じる.また,最後のバルコニーでの振り向きざまにドアが閉まるシーンも,その後の彼女の心境として象徴的だ.故郷や地位の抑圧から解き放たれた彼女は自分らしさを獲得したが,一方で客観的に見れば彼女は自分自身の殻に閉じこもってしまったということなのだろう.
というわけで,この映像だけでバッチリ予習もできたことだし,早く本編を見たいところ.姉と妹という関係が物語にどう影響してくるのかが気になる.それにしても,動画を何度見返しても髪留めの放り投げ方が凄まじいのがすごい気になる…….