先日発売されたBOSEのインイヤー型ノイズキャンセリングヘッドホンを購入したので,その使い心地や良い点/悪い点などをつらつらと書いてみようと思う.ただし,自分はオーディオやヘッドホンに関しては素人であり,これまでにノイズキャンセリング機能が付いたヘッドホンを使ったことがないので,その点はレビューできないことをご了承願いたい.

全体的に

  • 個人的に非常に満足している
  • ノイズキャンセリングで実現したかった「バス内で英語ポッドキャストをまともに聞く」ということが達成できた
  • 当分はこの製品を使い続けることになりそう(超軽量Bluetoothノイズキャンセリングイヤホンみたいな製品が出てこない限り)
  • 値段はやはり高めなのが気になるところ

ハードウェアに関して

  • 全体的にかなりコンパクトにまとまっている印象

イヤホン部分は問題なし

  • 外側にスピーカーが付いており少し大きく見えるが,耳につけても重さはほとんど感じない
  • Amazonのレビューで「色が補聴器のようでダサい」と酷評されていたが,自分は全く気にならない

イヤホンのチップは重要

  • 耳の穴全体を塞がれる感じ.付け心地は悪くない
  • これがフィットしていないと周囲からのノイズが入ってくるのが分かるレベル
  • 自分はMでちょうどのサイズだった
  • かなり強く固定されているので,鞄の中などに入れても外れる心配は無い

コントロールモジュールは確かに扱いづらい

  • ケーブルの途中にある小さい箱のこと
  • 主にバッテリーが収められているほか,ノイズキャンセリング機能のオンオフのボタン,充電用のmicroUSB端子がある
  • ヘッドホン端子からコントロールモジュールまでのケーブルが少し短く,どうしても音楽を聞く端末と同じポケットやケースに入れる必要がある
  • ここから出るケーブルの付け根は結構弱そうで,取り扱いの激しい部分なだけに結構心配

バッテリーは十分

  • 約16時間くらい持つらしいので残量を気にせず使える
  • バッテリーが切れても単純にイヤホンとしても使えるのも良い

ノイズキャンセリングについて

ノイズキャンセリングの効果は凄まじい

  • 大抵の音は消える.特に周囲の機械の動作音(モーター音)がかなり削られるので,体感的に非常に静かに感じる
  • 防音室に入った状態で少しホワイトノイズが聞こえるような感じ
  • ノイズキャンセリングの状態から片方だけイヤホンを外すと,その片耳から凄まじいノイズを聞かされているような感覚になる
  • 普段から静かだと感じている場所でも,意外と空調などの低音が消えてスッキリする
  • ノイズキャンセリングをオンにするときに多少耳に違和感を感じるが,音楽を聞いたり長時間経つと気にならなくなる

iPod/iPhoneから切り離してノイズキャンセリングだけ聞くこともできる

  • 四六時中音楽やポッドキャストを聞いていたいわけではないので,端末から切り離した状態でノイズキャンセリングできるのは便利
  • 読書するときとかは大抵音楽を聞かないので重宝する

Awareモードは正直微妙

  • 確かに人間の声だけ選択的に拾ってくれている感じはあるが,どうしてもノイズキャンセルの効果は薄れる
  • ノイズキャンセリングからAwareモードに移行するとノイズを聞かされているようであまり心地よくない
  • 周囲の声を聴きたいなら素直にノイズキャンセリングをオフにしたほうが良さそう

音質に関して

  • この値段を出しただけあって全く問題ないです,はい

まとめ

ノイズキャンセリング機能が付いたイヤホンを欲しいと考えた時に,BOSE QuietComfort20iは選択肢の一つとして非常に有力な候補となりうるだろう.特に大型のヘッドホンがあまり好きではないという人にとっては,インイヤー型はとても魅力的だと思う.細かいトコロで不便さは残るものの,大きな欠点は無くオールラウンドに使える本製品には非常に満足している.

参考



ご無沙汰しております.前回から1ヶ月近く開いてしましました.色々Blogに書くネタは溜まっているのですが,ちょっと忙しい&スランプ気味でお休みしておりました.ぼちぼちBlogを再開するにあたって,まずは告知です.


NGS現場の回第3回研究会ポスター発表

2013/9/4,5に神戸で行われるNGS現場の回第3回研究会でポスター発表します.

  • 題名「非モデル生物における遺伝子発現解析のためのde novoトランスクリプトームアセンブリの性能評価」
  • 場所:3-59-B

内容はタイトルにあるように,非モデル生物のRNA-Seqをする際のde novo Transcriptome Assemblyについて,ソフトウェアやデータサイズを色々変えて評価しましたよという感じの話をします.結局de novo Transcriptome Assemblyはソフトウェア色々あるけど何使えばいいの?どれくらいデータあればいいの?みたいな疑問に少しは答えられるかもしれません.ということで,非モデル生物でRNA-Seq勢の皆様,お待ちしております.情報交換&議論しましょう.というか色々と教えてくださいよろしくお願いします…!!

その他にも,ポスターの内容は分かんないけどこのBlogを見てるよという方も,良ければ是非いらしてください.Blogの感想・意見・文句などなどお待ちしております.冷やかしでも構いません.「Blog見てます」と声をかけてもらえれば,私が泣いて喜びます.

ではでは,NGS現場の回#3のポスター会場でお待ちしております.



宗教学者の島田裕巳氏による葬式論.タイトルは少々誇張が含まれており,実際に本書の中で述べられている主張はもう少し穏やかな口調でいて同時に強烈なメッセージを含んでいる.それは,現代日本の葬式は贅沢だということである.ただし,贅沢という語感だけで判断してはいけない.贅沢とは本書冒頭で定義されている言葉を借りるならば,

贅沢とは何か.それは,必要限度を超えて,金銭やものなどを惜しみなく消費することである.

葬式は、要らない (幻冬舎新書) (P.15)

ということだ.決して他人に対して羨望や僻みを含んだ意味ではないことを強調しておきたい.この定義から考えれば,葬式は必要限度以上に金銭やものを惜しみなく消費しており,だからそういった葬式は要らないということになる.ここで言う必要限度を超えているものは,葬式費用であり,檀家と僧侶との関係であり,戒名である.そして,これらの度を超えた豪華さを作り上げてきたのは,日本的な世間体と日本における仏教の変遷である.本書では以上のような主張を軸に,日本の葬式の現状や近年急速に変化しつつある業界基準を概観した上で,日本の葬式の歴史を紐解きつつ,これから向かう日本人と宗教の関係について論じている.

葬式論の具体的な内容は実際に本を読んでいただくとして,そこから本書の締めとして抽象化へと一気に駆け上がっていくところが個人的に非常に印象に残った.それは著者の死生観というべきものだ.本書の最後の章において,氏は「葬式の先にある理想的な死のあり方」というものを述べている.その冒頭で引き合いに出されるのはアメリカの有名私立大学であるスタンフォード大学の由来だ.スタンフォード大学は正式名称リーランド・スタンフォード・ジュニア大学と言い,一個人の名前を冠している.これはアメリカ大陸横断鉄道の生みの親であったリーランド・スタンフォード夫妻の子供の名だ.夫妻の子供は若くで腸チフスで亡くなり,夫妻はその子供の名前を残すために,これまでに築き上げた資産を使い大学を創立した.それが今のスタンフォード大学である.つまりスタンフォードとは名前であり,ある一人の人間が生きた証なのだ.そして島田裕巳氏は言う.動物の中で人間だけが個人の死の後に何か残すことができる,それは個人の願望または遺族の希望である.本人と遺族に悔いの残らない死に方をすれば,それでいいじゃないか.それが目指すべき生き方であり死に方であるなら,葬式なんてどのようなものであってもいい.だから,葬式は要らない,と.

参考



文法が正しければそれでいい,意味が通じればそれでいい,謝罪や感謝の言葉さえ言っておけばそれでいい…,といったある種の割り切りのようなものは,完璧な英語を目指すあまりに何も話せないような日本人にとっては効果のある心がけなのかもしれないが,一方で適切でない言葉遣いや非礼な態度はコミュニケーションにおける誤解を招きかねない.とは言うものの,微妙なニュアンスや行間を読むようなことはネイティブスピーカーじゃないとできないと思うかもれない.まだ基礎もできていないのに高度なことは到底無理だと,始めから匙を投げがちだ.しかし,大人になった私たちには論理があり経験があり文化がある.礼儀や習慣の必要性を論理的に理解し,それが必要になる場を経験から感じ取り,文化的な振る舞いを心がけることができる.これは決してネイティブやバイリンガルが自然とできるようになることではない.大人になった今だからこそ,理論的に系統立てて学べる技術である.しかも,必要になるのはとても簡単な単語と文法だけとなれば,あとは身に付けるかどうかの違いだけだ.

本書は主に日本のビジネスマンや学生に向けて書かれた英語のコミュニケーション術の解説書である.英語を必要とする日常会話やメール,プレゼンテーションなどの場において,どういう決まり事があってどういう間違いをしがちかといった気をつけるべきポイントが多数収録されている.特に,どんな場合でも”I’m sorry”と言わないと気がすまなかったり,質問に”Yes, I do / No, I don’t”といった決まり文句で返事しがちであったり,質問の意味がわからずに適当に返事してしまったりと,誰しも一度は体験したことのあるようなケースが多数登場する.当然ながら,それらの巧い返し方にも決まったフレーズがあり,言葉の使い方をちょっと変えるだけでぐっとネイティブに近づくことができる.また,日米のメールの構成の違いや発音を改善する方法など,知っていて当然/知っておくべき知識も豊富に含まれている.個人的には,

  • canとcan’tの発音方法の違い
  • 相手の質問に不躾にNoと言わない方法
  • マジックナンバー3

あたりが非常に参考になった.どのトピックも難しいことは何一つ要求されない.ただそのことを知っていて体に染み付いているかどうかの問題なのだ.この程度ならもしかしたら感覚的に理解して実践している人もいるかもしれない.しかし,今は頭でっかちになって理屈から理解しようとしているのだから,気後れすることなく1つずつ覚えていけばいい.そういった意味で本書は,英語の作法や技術をじっくり学んでいくための足がかりになる1冊である.


それにしても英語は本当に難しい.なんでこんなに英語が喋れない/聞き取れない/書けない/読めないのかと,悔しくてたまらない時がある.もしバイリンガルだったならどれほど楽だったかと誰しも一度は思うはずだ.そういう時には決まってスヌーピーのこの言葉を思い出すようにしている.

YOU PLAY WITH THE CARDS YOU’RE DEALT…WHATEVER THAT MEANS.

いくら人を羨んだってしょうがない,だったらとことん理詰めで攻めてやろうじゃないかと,すこしばかり自分を奮いたたせることができる.そして,本書のような英語の技術書を読むと,少しばかり前に進んでいる実感が得られる.



アセンブリ界隈ではすっかりスタンダートな手法になったde Bruijn graphによるアセンブルだが,正直言ってこの単語の発音はよく分からない!私自身も人が発音しているのを聞いて参考にしたり色々調べたりして確認してはいるものの,いまだに自信を持って口に出して言えないトコロがある.Blogに書くときもカタカナ表記を避けているのが現状だ.

The Genome Factory: How to pronounce “de Bruijn”

さて,この発音問題は英語圏でもかなり混乱があるようだ.上記のBlog記事によると,今年のISMB 2013という学会でも様々な発音の仕方を耳にしたという.例えば

-broon

-broo-en, brewin’

-bra-jen, brar-djen

-brin

-brun

-bruggin, bruggen

-broin, broyn

といった具合だ.要するに”ijn”付近がやっかいで,発音するのかしないのかがよくわからないといったところだろう.似たような単語が英語にほとんど無いというのも影響していると思われる.

さて,このBlog記事によるとBruijnの部分は”BROWN”と読むようだ.ということで,日本語表記するならば正しくはde Bruijnはデュブランと読むということだろうか.ただし,Bruijnをブルーインと表記する日本語記事も見られるため,過去の翻訳との兼ね合いも悩ましいところ.昔の日本語読み的なカタカナ表記ではブルーインなのだろうが,本来の読みをそのままカタカナにする最近の表記方法ではデュブランだろう.

ということで,個人的にはデュブランの方がしっくりくる.今後もBlogに記事を書く際には英語表記のままde Bruijn graphとするが,書くとしたらデュブラングラフかな….

参考