#icanhazpdfというTwitterのハッシュタグがある.これが何を意味しているかは,実際に使われている例を見てもらったほうが早いだろう.

Twitter / Search - #icanhazpdf

つまり,読みたい論文があるのに所属している大学/研究所/企業がライセンスを契約していないからpdfが取れない!という時に,

  • この論文のPDF取れる人いますか? “hoge et al. piyopiyo” http://xxxxxx… #icanhazpdf

  • だれか#icanhazpdf できる? http://xxxxx…

といった感じでTwitterに投稿するというわけだ.これを見た知り合いか誰かがpdfをメールで送ってさえくれれば,気になる論文がチェックできる!

とまあ,これはヤバいだろというのは誰が見ても明らかで,Twitterで検索した結果を見ても,実際にこのハッシュタグに疑問を投げかけている人も多数存在する.ここでは法やモラルの問題に踏み込みたくないので判断は各自に任せるとして,近年の論文誌の購読価格の上昇であったりオープンアクセスの流れなどが影響しているのは確かだろう.まあ,Twitterの登場によって今まで内輪で行われてきた行為が表面化してきているだけというのが一番大きいのだろうけれども.

icanhaz…の元ネタ

icanhazという意味不明な英文法の元ネタは以下の猫の画像.tumblrによく流れてくるようないわゆる画像に文字を付ける遊びの一種で,本来は”I Can Has Cheezburger?”だったようだ.このタイトルを冠したネタサイトがあるほか,Wikipediaにも個別記事が作られている.


pics on Sodahead

その他icanhazpdfの参考サイト



Zenithのホッチキスを買った.前々から一目惚れしていたものの値段のせいあって買うのをためらっていたのだが,いつも使っているホッチキスで上手く綴ることができなくなってきたので買い替えとばかりに思い切って購入.最近ご無沙汰だった文房具熱が再発しそうで少し怖い.

第一印象としては,とにかく使い心地が良い.見た目からはデカくてゴツくて荒っぽい印象なのだけれども,やはり通常のホッチキスと比べてそもそも構造が違うのが,使用感に大きく影響してくる.とにかく力を入れなくても簡単に紙を綴ることができるので,だからといって楽とは少し違うのだけれども,普通に使う分には全く問題がない.正確には計っていないが10枚くらいなら余裕で綴ることができるし,頑張れば20枚程度はいけそうな感じがする.あと個人的に気に入っているのが綴るときの音で,鉄の擦れる音やバネの軋む音が心地良い.

まだあまり使っていないので,これからが楽しみだ.Zenithのホッチキスで綴た論文を,頑張って読もう….



映画”Zero Dark Thirty”の北米版Blu-rayを買った.映画として完成度が高いというのは言うまでもないものの,個人的な思い入れが強い作品でもある.この映画で描かれるCIAの女性捜査官には,何かを追い求める執念であったり不屈の精神に強く惹かれるところがある.それをもう一度確かめたくて,9月の日本版の発売を待たず海外版を購入してしまったというわけだ.当然ながら日本語字幕は無い.

今回購入したBlu-ray/DVD Comboには,Blu-rayとDVDが1枚ずつ入っている.Blu-rayは日本と北米ともに同じリージョンなのでPS3などのプレイヤーで普通に観ることができる.DVDはリージョンが違うため日本のプレイヤーでは通常は見ることができないため,PCなどの環境を別途用意する必要がある.(参考)

さて,今回初めて北米版のDVDを買って色々知ったのだが,映画の音声に通常の英語版に加えて,Descriptive Serviceというモードが付いている.これはどうやら視覚障害を持つ方向けのサービスのようだ.

Descriptive Video Service - Wikipedia, the free encyclopedia

実際に聞いてみるとわかりやすいのだが,Descriptive Serviceはいわゆるオーディオブックのようなものだ.映画オリジナルのセリフの間に,情景の説明や誰が何をしたといったことがナレーションとして入っている.画面に表示される文字や暗転したといったことも含めて,セリフでカバーできない画面の内容が英語音声で説明されるので,画面を観ることができない人でも映画を楽しめるようになっている.本来はそのような用途で使用されるものなのだが,このナレーションは聞き取りやすい声で口調もそれほど速くないため,最近はこれを流しながら英語を聞く耳を鍛えている.Descriptive Serviceは当然ながら字幕に出すことができないので,英語学習に向いているとは言えないものの,好きな映画を見ながらセリフ以外のところで英語の学習ができるので,個人的に気に入っている.



ハーバード白熱日本史教室 (新潮新書)で知られる北川智子氏の人生をなぞるようにして,彼女の勉強に対する姿勢や方法を書き起こした本.高校時代にカナダに留学した時から始まり,そのままカナダの大学へと進学,専攻を変えつつアメリカの大学院を渡り歩き,そしてハーバードでのカレッジ・フェローとイギリスのケンブリッジ大への挑戦という各段階において,どのように勉強をこなし成果を上げてきたかという経験が語られる.国を変え,専攻を変え,研究対象を変える.彼女はそのようにして興味を追いかけハードルを乗り越えながら勉強してきたという.その中で培われてきた独自の勉強法が,彼女の体験とともに紹介される.

本書では様々な勉強法が紹介されるが,全体に共通するのは恐ろしいほどの勉強量である.文章の端々に表れる異常なまでの勉強時間,勉強量,集中力,アウトプット,そのどれもが,字面だけでは到底推し量ることのできないほどの苦痛と困難に満ちていたであろうことを,どうしても感じとってしまう.例えば,1週間の日程表は午前7時から始まり27時まで書かれている.文字通り100杯以上のコーヒーを飲み,博論を書き続けて気付けば5日経っていたこともあったという.そのような過去の苦労に対して,どちらかというとリアルに表現することなくソフトなタッチで書かれているために,つい大げさだと受け流してしまうかもしれない.しかしながら,その経験談の裏にある彼女の人生が辿ってきた険しい道というものは,明らかに存在する.勉強法という小手先の技術というべきものが,巨大な努力量と綿密な下準備というものによって支えられているということを,ある意味気づかせないようにしているとも取れる.

みんな,誰もが効率というものに取り憑かれて,少ない労力で多くの成果を得たいと思っている.活躍する人の真似をすれば少しは自分もそこに追いつけるかもしれないと思っている.と同時に,成果に繋げるには生活すべてを勉強に注ぎ込む必要があるのだとも薄々気づいている.自分に何ができるかという答えなき問題に対する不安や諦観には,とやかく人に言われるよりも,試行錯誤を繰り返して自分で見つけ出すしかない.しかしながら,他人の人生と教訓を学ぶことは,決して悪い方法ではないと僕は思っている.他人が経験した他人の人生を自分の中で上手く反芻することができれば,それは何かしらの手がかりにはなる.そういった意味で,本書で語られる北川智子氏の人生は,多くの日本人よりはるかにかけ離れたものであり,現在の日本の価値観におけるロールモデルであり,実現不可能な人生ではないことを示してくれる実例となっている.



Trinity | Evolution and Genomics経由で知ったのだが,Trinityのワークフローに関してより分かりやすい図が2011年のNature BiotechnologyのNews and Viewsに掲載されていたので,ここで少し紹介する.この図はTrinityのアセンブリアルゴリズムの一連のワークフローを表しており,アセンブリ結果の解釈も含めて解説されているのが大きな特徴だ.Trinityが対象にしているトランスクリプトームのアセンブリは,アイソフォームや選択的スプライシングなどの影響を受けて良く似た配列が多数出てくるため,一意に決まらない場合が多い.そういったケースに対応するために,Trinityではアセンブルのグラフを作成して考えられる候補を幾つか出力するのだけれども,実はこの結果の解釈が一番難しい.多数の類似配列が出力で得られた時にそれがどういう可能性から出てきたものなのかを考える上で,この図の一番下の解説はとても参考になる.実際はこんなに上手くいかないだろうとは思うものの,個別のアイソフォームとして配列をクラスタリングしたり,そもそもTrinityが何を考慮してアセンブルしているかを確認する際には役立つだろう.

Iyer, M. K. & Chinnaiyan, A. M. RNA-Seq unleashed. Nat. Biotechnol. 29, 599–600 (2011).

http://www.nature.com/nbt/journal/v29/n7/full/nbt.1915.html

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