ひとこと
このボルヘスの短編に本書の姿勢というものが凝縮されている.地図と科学を対応付けて考えるならば,分野の細分化が進行した現在におけるそれぞれの科学の役割というものを憂う一方で,地図に代表される抽象化の中にある本質的な役割と設計方法について再考するきっかけとなる.
序文
学問の厳密さについて - On Exactitude in Science
日本語1版では序文冒頭,英語2版では第1章の前半で出てくる文章.これはホルヘ・ルイス・ボルヘスとアドルフォ・ビオイ=カサーレスの書いた短編.訳注にあるように,架空の著者による架空の本の抜粋であり,二人の書いた短編自体にこの前後は存在しない.
書籍の形として翻訳されたものは,「ボルヘス怪奇譚集」や「汚辱の世界史」,「澁澤龍彦文学館10 迷宮の箱」などで読めるようだ.
物理を使って生物を視る4つのステップ
- 生物の現象を観察する
- オーダーの見積もりを行う
- 単純なモデルを適用する
- モデルを洗練する
本書の全体構成
- 第1部:「生命とは」
- 主に生物の現象を扱う
- 第2部:「平衡状態としての生命」
- 時間を考慮しないような定量的モデルを使ってとくことの出来る問題を扱う
- 第3部:「非平衡状態としての生命」
- 時間に依存したシステムのダイナミックな振る舞いや複雑さを扱う
- 第4部:「生命の意味」
- 生物システムのさまざまな情報処理について説明する